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【邦楽ポストロックのススメ】代表的なバンド、人気グループ
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【邦楽ポストロックのススメ】代表的なバンド、人気グループ

ポストロックというジャンルを聴き始めて間もないという方のほとんどは、洋楽を起点として作品をチェックしている最中だと思われます。

実はここ日本におけるポストロック・シーンは、世界的に評価されているバンドが多く存在しているという事実をご存じでしょうか。

彼らが試みた音作りは、実はメジャーでヒットしている楽曲の音作りにも大きな影響を与えています。

とはいえ基本的に商業的な音楽ではないからこそ、実際に探すとなると初心者の方であれば敷居が高いかもしれません。

そんな音楽ファンに向けて、今回の記事では日本のポストロックを代表するバンドたちを紹介しております。

邦楽ロックがお好きな方も、ぜひご覧ください!

【邦楽ポストロックのススメ】代表的なバンド、人気グループ

孤独の発明Toe

日本のポストロック・バンド、というテーマで真っ先にその名前を挙げられるのが、2000年に結成された4人組のtoeです。

基本的にインストゥルメンタルを軸としたサウンドであり、セブンスコードを多用したクリーン・トーンのギターによるアルペジオの絡み合い、空間の隙間を埋めるようなベース・ライン、手数が多く荒々しくも繊細なグルーヴを生み出すドラムスが渾然一体となって繰り出す様は、後続のバンドに多大なる影響を及ぼし続けています。

オシャレな音楽と評価されることもあるのですが、もともとはハードコアやパンクといった出自を持つメンバーならではのバンド・アンサンブルには張りつめたような緊張感が音の細部にまで感じられ、toeでしかありえない音世界は特に圧巻のライブ・パフォーマンスでこそ、その真価が発揮されるのです。

海外での作品リリース、ツアーなども成功させており、その評価は日本だけに留まりません。

作品としては2022年現時点で3枚のフル・アルバムと数枚のEP作品やスプリット盤をリリースしており、どちらかといえば寡作なタイプであればこそ、1枚1枚の作品のクオリティが抜群に高いです。

そんな彼らのもう一つの特徴として、メンバーがtoeの一員としての顔以外にもそれぞれ本業を持っているという点が挙げられます。

音楽家として生きていく上で、バンドだけにとらわれない立場を提示した彼らのスタンスは、多くのミュージシャンの参考となったのではないでしょうか。

KOH-1

16.12Mono

toeと並んで邦楽ポストロック・バンドの最も有名な存在といえば、1999年に結成された4人組のMONOでしょう。

活動当初から世界を視野に入れた活動を続けており、2001年のデビュー・アルバム『Under The Pipal Tree』の時点でアメリカの前衛的な音楽レーベル「Tzadik」から発表、これまで150本に及ぶワールドツアーなどをこなしたキャリアを持つなど、日本以上に海外で高い評価を受けているバンドといっても過言ではないでしょう。

MONOのサウンドはゆったりとしたリズムで繰り出される静と動のダイナミズムを巧みに操る楽曲展開が特徴的で、モグワイやゴッドスピード・ユー!・ブラック・エンペラーといったバンドに肉薄する轟音と静寂のコントラストは素晴らしくドラマチックであり、曲によっては15分をこえる長尺曲も多く、他では味わえないような音楽体験を聴き手に届けてくれるのです。

いわゆる轟音系のポストロックとされるバンドの中も、彼らの楽曲の持つ短編映画のような物語性は作品をリリースするたびに強化され、2009年に5枚目のアルバム『Hymn to the Immortal Wind』がリリースされた直後に実現した、ニューヨークで開催されたオーケストラとの共演はMONOサウンドが一つの頂点を極めた瞬間でしたね。

もちろん、彼らの音世界は今も進化し続けており、2017年には残念ながらオリジナル・メンバーの脱退もありましたが、新たなメンバーを加えて2019年には10枚目のアルバム『Nowhere Now Here』を、2021年には11枚目となる『Pilgrimage of the Soul』を発表しています。

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完璧な庭People In The Box

2003年に福岡県北九州市にて結成されたPeople In The Boxもまた、2000年代以降の日本のポストロック~マスロック、オルタナティブロックを代表するバンドの1つです。

結成時からのメンバーはボーカルとギターを担当する波多野裕文さんだけとなっていますが、2008年からは不動のトリオとして活動を続けており、オーソドックスなロックとは一味違うセンスと確かな演奏能力、3ピースならではのバンド・アンサンブルから生まれる個性豊かな音楽性は、同業者のファンも多くいるほどです。

初期は00年代の日本のポストロック~インディーズ・シーンを語る上で欠かせないレーベルの「残響レコード」に所属しており、2010年から2018年まではメジャーの日本クラウンにて活躍、現在はBAUXITE MUSIC WY.に所属して活動を続けています。

そんな彼らが2014年にリリースした楽曲『聖者たち』はテレビアニメ『東京喰種トーキョーグール』のエンディングテーマとして起用されましたから、そこで初めてPeople In The Boxの名前を知った方も多いかもしれませんね。

彼らの楽曲は変拍子も多用した複雑な構造でありながらも、耳に残るメロディと歌がきっちり盛り込まれているという点が重要で、あまりジャンル的なものを気にせずポストロック初心者であっても聴きやすいと言えそうです。

彼らの音楽を足掛かりとして、ポストロックやマスロックなどの世界へ飛び込んでみるというのもいいかもしれません!

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地下鉄の動態Marmalade butcher

「マ肉」というファニーな愛称でも知られる、2010年に始動して2012年より本格的にバンドとして活動を開始したMarmalade butcherは、2010年代以降の邦楽インディーズ・シーンにおいて独自のサウンドを提示する存在です。

公式ホームページのバンド紹介に「モテるインスト」がモットーと正直に書かれているくらいですから、ポストロックやマスロックにエレクトロニカ、ゲームミュージック的な要素にいたるまでさまざまなジャンルを洗練されたセンスで融合したサウンドは、実にオシャレでクール!

もちろん雰囲気だけのオシャレ音楽ではなく、バンドの創設者でもともとは一人で楽曲制作を進めていたというギタリストのにえぬさんが手掛けるハイブリッドな楽曲を、卓越した技術を持ったミュージシャンたちが生演奏で奏でるという独自のスタイルは、間違いなくロック・バンドとしての熱さを兼ね備えています。

同時に、エレクトロニカなどの電子音楽を当たり前のように操る現代的なセンス、楽曲と同じくらいに一筋縄ではいかない曲名、アーティスト写真などに見られる本気なのか冗談のなのかわからない雰囲気など、まさに2010年代のバンドらしさが多く見られるところが興味深いですね。

KOH-1

higherthe band apart

楽曲としての聴きやすさと豊潤な音楽性を内包した唯一無二の音楽性、自身の運営するレーベルから作品をリリースするDIYなスタイルを貫きながらも、アルバムをオリコン・チャート10以内にランクインさせるなど、長きに渡り音楽業界で独自のポジションをキープし続けるthe band apart。

1998年の結成以来、4人の不動のメンバーで活動を続ける彼らの楽曲はもともとは英語詞オンリー、日本のパンク~ハードコア系のバンドや海外のバンドとの共演など、どちらかといえば洋楽指向のリスナーから高い評価を得ていた存在でしたが、2002年に前述した自身のレーベルからリリースした名盤セカンド作『quake and brook』がオリコン・チャートの5位にランクインするといったように、地道な活動でファンベースを広げていったタイプなのですね。

2012年からは日本語詞にも挑戦するのですが、どのような要素を取り入れようとも決してぶれない音楽的態度があればこそ、安定した人気を保ち続けられるのだと言えそうです。

そんな彼らのサウンドは冒頭で述べたようにさまざまなジャンルから影響を受けたものであり、特に初期はエモコアやポスト・ハードコア、オルタナティブロックにポストロック、ジャズなどの要素が絡み合うサウンドで、同系統の洋楽のバンドと並べても遜色のない音楽を鳴らしています。

アルバムをリリースするごとにソウルなどの要素も顔を出し、より洗練されたサウンドへと進化していくことも踏まえて、特に英語詞に抵抗のある方であれば全編日本語の歌詞となった2013年の名盤『街の14景』辺りから聴いてみるのもいいでしょう。

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spectres de mousemouse on the keys

海外においても、いわゆるハードコアやパンク出身のミュージシャンが次なるキャリアとして先鋭的なポストロック・バンドをスタートさせるという例は非常に多いのですが、2人のキーボーディストとドラマーという変則的なトリオのmouse on the keysもその例にあてはまるバンドです。

伝説的なポストハードコア・バンドのnine days wonderのメンバーだったドラマーの川﨑昭さんとキーボーディストの清田敦さんによって2006年に結成、その後キーボーディストの新留大介さんが加入して、マウス・オン・キーズは本格的な活動を開始します。

2007年にはtoeが運営しているレーベル「Machupicchu Industrias」よりデビューEP『Sezession』を、2009年にはデビュー・アルバム『An Anxious Object』をリリース、翌年の2010年には両作品をヨーロッパでも発表して海外ツアーも敢行しており、圧倒的なパフォーマンスで大きな話題を呼びます。

そんな彼らのスタイルは、前述した変則的なトリオならではのサウンドを展開しており、ポストロックやジャズ、現代音楽などを独自に昇華した個性的な楽曲群は、初めて聴いた方であれば驚かれるかもしれません。

ピアノの音色は時に叙情的で美しいフレーズを奏で、時にスリリングな緊張感を生み出し、すさまじく手数の多いテクニカルなドラムスが楽曲の核となって強烈なグルーヴを生み出す様は圧巻の一言。

そんな彼らは一貫してインディーズでの活動を続けていますが、CM用にオリジナル曲の提供や、個展のインスタレーション音楽を担当するなど、柔軟な姿勢を持っているというのも強調しておきたいところですね。

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